近畿修猷会教養講座  2023.07.15

近畿修猷会はいろいろなサークルがあり、「音楽を楽しむ会」もその一つですが、もう一つ、必ず参加
するのがこの「教養講座」です。
世話役の久保浩史氏が驚くべき人脈の広い人で毎回、錚々たる人を講師として招くのです。
その中には毎日新聞を購読していたときにコラム「時代の風」でよく目にして尊敬の念を抱いていた
国際政治学者で京大教授の中西寛氏や、約900億円の多額の区債を抱え、未曾有の財政危機に
陥っていた杉並区を区長就任から10年間で大きく改善させたことで私の関心を強く引いた現参議院
議員山田宏氏、中国のウイグル族への弾圧を執拗に告発し続けたジャーナリストの福島香織氏、
そしてお名前は覚えていないのですが、原子炉文殊の開発の責任者で廃炉までずっと関わり続け
てきた三菱重工の技術者など、普通ではお目にかかれない人たちの講演を聴け、なお、その後の
懇親会ではさらに突っ込んだ話ができる講座なのです。

今回の講師は元、自衛隊艦隊司令官の香田洋二氏。

なかなかの情熱家というような語り口と雰囲気なのですが、現在の自衛隊の問題点や、国際情勢に
おける我が国の立ち位置の分析などは冷徹なほどの鋭い知性を感じさせ、自衛隊の幹部クラスの
能力の高さを実感する思いでした。

私の同期生のハラダ氏がした質問の「自衛隊の砲弾などは中小企業の町工場のような所で、パート
のおばちゃんたちも携わる中で作られているということですが、そんな状況で実際、戦争になったとき、
補えるものでしょうか」の質問には顔をしかめて「いや、痛いところを突かれたご質問です。まさにご
指摘のとおり、我が国自衛隊の砲弾はそのような町工場で作られているのですが、現在の我が国の
法律ではそれ以上の方法を取りようが無いのです」と答えられたことがとても印象的でした。


懇親会に残るのは20人前後なのですが、3つのテーブルに分けて座り、講師には一定時間になると
テーブルを移動してもらって質疑応答に答えてもらうのです。
そのときに香田氏は「いや、砲弾の製造現場のことを指摘されたのは初めてのことです。やはり修猷
館高校OBの皆さんは凄いですね」と言っておられました。
そのハラダ氏は懇親会には残りませんでした。
後列真ん中が久保氏。

後日、怪盗ルパンさんにお会いしたとき、香田氏とは防衛大学校の同期生だったとのこと。

香田氏の著作を早速買いましたが読みごたえのある内容でした。